進路を見据えて学ぶ


進路を見据えて学ぶ 基礎看護学

 看護職には,看護師,助産師,保健師と3つの専門職があります。どの職業を選択しても,活躍する場所は病院・地域・企業など様々です。

 看護学科に入学して早いうちに,看護職の役割や実践に必要な知識や技術について知り,将来の進路を検討する機会となることを期待して,1年生の間に次の2つの授業を行っています。

 1つめは「看護の場と活躍の実際(看護学原論1)」という授業です。

入学してまもない6月ごろに,現役の看護師・助産師・保健師の方々をおよびしてお話しを聞く機会を設けています。3名の話しが同時に聞け,直接質問ができます。

当日はおひとりおひとりが学生に伝えたいことを中心にお話しくださいます。例えば,職業選択時の思いと就職してからのギャップ,看護職としての現在と将来展望,1週間~年間の仕事と生活の実態,忘れられない対象者との出会いなど,貴重なものばかりです。

 1年生の感想を見ると,看護職について幅広く考え,自分の人生について思い描く機会となっているようです。(この授業を聞いて,看護職を目指してもいいかもしれないと思う学生もいるようです)

 教員の感想:毎年,違う方にお越しいただくのですが,それぞれの信念やこれからの自分に対する秘めた(熱い!)思いなどを聞くことができ,看護を職業とする魅力を実感することができています。

  

 2つめは「基礎看護学実習Ⅰ」という授業で,1年生の9月末に実習形式で行います。 病院で働く看護職(主に看護師)と地域で働く看護職(主に保健師)の両方の活動について学びます。病院実習は山梨大学附属病院で行います。看護師と行動を共にしたり,入院している対象者にお話をうかがったりしながら看護について考えます。地域実習は県内の市町村へ実習に行きます。乳幼児健診や家庭訪問,介護予防教室などに参加したり,保健師企画の事業の説明や体験談をうかがったりします。参加する事業によっては看護師や助産師に出会うこともあります。

 この実習は,1年生にとって病院や市町村という臨地に赴き,そこでの活躍を自分の目で見て,肌で感じられる機会になっています。看護の対象となる人々の健康(疾病)と生活や看護職としての役割について学び,自己の将来像をより具体的に意識するきっかけとなっているようです。

 看護学科に入学した学生のみなさんが,より具体的に自分の将来を思い描き,日々の学習の動機づけになればと考えています。


進路を見据えて学ぶ 助産師

4年間を通して

女性の性と生殖、特に妊娠・分娩・産後、そして新生児とそれを取り囲む家族に専門的に関わる助産師を目指すためには、その時期における知識や技術のみではなく、人々の健康を守るための幅広い知識や技術が必要とされます。助産師になるためには、助産師の国家資格だけではなく、看護師の国家資格も必要であり、4年間の大学生活の中で、そのための学習を行うことが必要です。

1年次

 1年次での学習は、専門職として社会に出るために必要な、幅広い知識を身に着けるための教養科目が中心となります。これは他の学部学生とともに学ぶ科目も多く、人間関係の形成の場でもあります。また、看護専門科目の学習も同時にスタートします。まずは、看護の最も基礎的な部分である看護の歴史、役割や機能について学びます。さらに、人体の構造や機能についてなど、これから看護を学んでいく上で非常に重要な知識や技能、態度を習得していきます。

2年次

 2年次では、看護の学習はより具体的になっていきます。疾患やその治療方法といった医学的知識の習得に加え、日本の社会保障制度や保健福祉環境など、医療を取り巻く社会の動きについても学びます。看護についての学習では、個々の対象者に合った看護の方法を学ぶことにより、実践的能力を身に着けていきます。同時に、専門科目では各疾患や対象者別の看護についての学習が始まります。

 2年次でスタートする「母性看護活動論」は、女性の身体や妊娠から分娩、産後、新生児についての看護について学ぶため、助産師を目指す学生にとっては、習得すべき基本的な学習となりますし、興味や関心を持って学べる科目になると思います。また、母性看護学以外の、成人や精神、小児、高齢者、地域などの各領域別看護学の学習は、合併症のある妊産婦の看護や、子どもを産み育てる女性を取り巻く家族の看護、地域で暮らす全ての女性の看護に繋がる学習となりますので、助産師を志す学生にとっても重要な学びとなります。

3年次

 3年次では、助産学関連の選択科目がスタートします。前期には「助産学概論」、「リプロダクティブヘルス論」を選択してください。これらの科目は誰でも履修できます。

後期になるといよいよ臨床実習が始まります。それまでに学習してきた知識や技術を、実際の医療現場で実践し、学びを深めていきます。3年次後期から約1年をかけて、様々な診療科や地域で実習を行い、対象者との人間関係の構築方法を深め、看護実践能力を習得します。「母性看護学実習」では、分娩後の母児を受持ち、母と子双方の健康の保持増進を支える看護、また子どもを産み育てる時期にある家族を支える看護について学びます。助産師を目指す学生にとっては、この時期の健康な母児を受持ち、多角的に捉える視点を持ち学習することは、今後助産学を学んでいく上で非常に重要となります。

 12月には助産師を目指す学生にとっての関門、最終選考があります。そして、2月から助産学の集中講義が始まります。「助産診断技術学」「周産期ハイリスク疾病論」これらの講義は実際の産科外来・陣痛室や分娩室といった臨床の場で行います。助産学における諸理論の学習や妊娠・分娩・産褥・新生児期の各期における看護について、より深く具体的に学習し、助産師としての専門的能力を深めていきます。

4年次

 4年次4月から5月は「助産診断技術演習」「助産業務管理」といった集中講義が続き、5月中旬から7月まで、他の領域の臨床実習をします。6月には1週間、新生児蘇生法や妊産婦のカウンセリング演習を行います。

 7月末に分娩介助の演習を終えて、いよいよ「助産学実習」がスタートします。この実習では、それまで学んできた助産の専門的知識を用い、学生一人ひとりが1組の母児の分娩を受持ち、臨床助産師と一緒に分娩の始まりから終わりまでを介助し、分娩期の看護について学んでいきます。10組の母子の正常な分娩の経過を学習するとともに、分娩進行の判断や予測、または急変時の処置などについても実践を通して能力を獲得していきます。

 加えて、分娩だけではなく、妊婦健診や婦人科外来における助産師の役割、ハイリスク新生児とその家族への看護の在り方を考えていきます。さらに、これらの実習で自分自身が興味や関心を持ったことについて、文献などを用いた学習を行い、4年間の集大成として「卒業研究」をまとめ、国家試験に向けて学習を行っていきます。

おわりに

 助産としての専門的な講義や実習は3年次からの学習となりますが、助産師を目指す学生にとって、1年次からの知識や技術の獲得と積み上げは非常に重要なこととなります。助産師だからといって、妊娠や分娩のみ、または女性についての知識や技術があればよいというわけではありません。例えば、内科的な疾患を持っている妊婦、社会的な背景が難しい妊婦、合併症を持って産まれてくる新生児など、助産師の関わらなければならない対象者は全て健康で正常な経過を辿るとは限りません。様々な対象者に関わるためには、幅広い知識と技術、柔軟に対応できる人間性が重要です。助産師だから助産だけではなく、4年間を通して、たくさんの学習と様々な経験を積んでいくことが大切です。

進路を見据えて学ぶ 助産師

2015年度助産学専攻学生


進路を見据えて学ぶ 在宅看護

「在宅看護論」「在宅看護学実習」:在宅という場で活躍する看護職を目指す

 皆さんは将来自分が看護職としてどこで働くことをイメージしているでしょうか?多くの方は病院でしょうか?しかし、最近は入院している日数はどんどん短くなり、療養の場が「病院・施設」から「在宅」へと移ってきています。看護師としてじっくり療養者と関われるのは、実は病院より在宅ということも多いのです。

 多くの人が「住み慣れた自分の家で最後まで暮らしたい」と願っています。この願いを実現するためには在宅看護が不可欠です。今、在宅看護への期待はどんどん高まっています。でも残念ながら在宅看護を担う看護職はあまり増えていません。最近では研修コースが整備され、大学卒業後すぐに訪問看護師になるという可能性も広がっています。この授業で在宅看護の可能性と魅力を知り、皆さんが進路を考える際に、その選択肢の一つに「在宅の場で働く看護職(訪問看護師等)」が挙がるようになればと願っています。