母性看護学(遺伝看護学)

母性看護学

母性看護学は、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの概念に基づき、女性の生涯の健康支援にかかわる看護の領域です。ケアの質の向上を図るため、現象を論理的に説明すること、実践を変革するエビデンスに基づく支援の開発を目指します。
母性看護学特論では、妊娠期から子育て期までの女性とその家族の健康課題を解決するため、Evidence based nursingの手法を学習します。大学院生の臨床実践での疑問について討議し、自己の臨床での疑問をPICOにより定式化し、文献検索から、実践への導入を目指します。また、これらの対象者を理解するために必要な理論や概念について学習します。 さらに、演習では、修士論文作成の基盤作りを行います。研究課題を明確にするため、系統的な文献検討を行うと同時に、研究の基盤となる理論や概念を選定します。研究の方法論を決定し、修士論文の作成につなげます。
これまでに修士論文として取り組んだ研究は、母親が母親になる移行期において感じる自信や困難に焦点をあて、現象を記述する研究や、介入研究を用いたケアの効果検証となるものです。

遺伝看護学

 遺伝看護学専攻は、医療の場において遺伝医療技術が適切に運用されるケア体制の整備に貢献する人材を育成することを目的に2012年に開設しました。
  これからの看護師は、単一遺伝子疾患や染色体の障害を持つ人々の直接ケアに止まらず、遺伝医学の進歩に伴う医療の変化に対応していかなければなりません。健康の保持増進や疾病の予防のための検診や健康教育・健康相談の在り方も変わってくるでしょうし、ますます市民や支援団体とのパートナーシップが重要となってくるでしょう。

 遺伝看護学特論は共通科目として設置していますので、看護学専攻の大学院生であればどなたでも受講できます。遺伝医学・遺伝看護の基本概念と方法論を学び、臨床において遺伝医学・看護の視点を持ったケアやコーディネーションについて討議します。

研究テーマは、看護方法、教育、社会活動等多岐に渡ります。

  • 遺伝性疾患をもつ人々の特性を記述し、症状管理方法を探り、生活の質向上のための新しい看護方法を開発する研究をしていきます。
  • 大多数の看護職が遺伝的問題に対応するための教育を必要としています。看護職者や看護学生を対象とした遺伝看護関連の継続教育や基礎教育に関連した研究に取り組んでいきます。
  • 遺伝子は人の多様性と固有性を形づくる働きがあることから、社会の人々の「遺伝」に対する不安や恐れを減じるための社会活動や研究を進めていきます。

在校生の活動

岡 園代(新生児集中ケア認定看護師,助産師)

関心テーマ
新生児看護
大学院で学び始めて感じていること :
退職し、通学しているので様々な講義を受け、関心があることや出来事について時間をかけて考えられます。とても有意義な時間を過ごしていると思います。

徳村藍香(助産師,看護師)

関心テーマ
母性看護
大学院で学び始めて感じていること :
 就業しながらの通学ですが、様々な講義を受けて日々の現場での疑問の解決や、自分の行ってい看護や助産ケアを様々な側面から考えることができるようになっていると感じています。また、臨床経験の豊富な同級生からも多くのことを学ぶことができ、とても充実した時間を過ごしていると思います。

山口奈月(助産師,看護師)

取り組んでいるテーマ
妊産婦のメンタルヘルスや特定妊婦のケア
大学院で学び始めて感じていること
大学院で学びながら、今までの自己の妊産婦さんとの関わりを振り返っています。今後は様々な視点を持ちつつ、妊産婦さんの一番の理解者となり、より近くで支えられるようになっていきたいです。

滋田泰子(新生児集中ケア認定看護師,助産師)

大学院で学び始めて感じていること
現在私は、管理夜勤の夜勤専従と学業を何とか両立しながら、念願だった大学院生活をスタートしたところです。同期の仲間たちも仕事と学業を両立する院生が多く、お互いに声を掛け合い、励まし合いながら、とても充実した生活を送っています。スピード感ある臨床現場を少し離れて、丁寧に看護理論に向き合ったり、課題にじっくりと向き合ったりしてみたいと思っています。

 

修了生の活動

神山とき江(助産師,看護師)

修了年
2017年3月
修士論文
動機づけ面接法 MI(Motivational Interviewing)による妊娠12週~16週の時点で禁煙している妊婦の産後4か月までの禁煙維持への支援
大学院を振り返って
私は、平成29年3月に修士課程を卒業しました。修学中は、緊張の連続の臨床現場から離れ、多くの先生方や学生の仲間たちに支えていただきながら、充実した学生生活を過ごすことができました。修士課程での学習は研究が中心となりますが、何よりも専門分野の先生方や仲間との輪(和)を広げるよい機会となりました。また、修学中の成果の一つとして、禁煙学会にて妊婦の禁煙維持をしている方の事例をシンポジストとして発表する場をいただきました。 現在は、臨床の場に戻り新たなスタートをきりました。現場は、地域医療支援センターで退院支援を中心に対象の皆様と関わりを持っています。病院と地域をつなぐ橋渡しが私の役割です。現場では、介入研究で方法として使用した動機づけ面接法を活用しながら、対象の方々に携わっています。動機づけ面接法は、指示的ではなくあくまでも相手の中にある考えや意向を引き出す働きかけです。退院後の生活をどうしたいのか。なにが気がかりなのか。家族はどう考えているのか。など様々な思いを引き出せるよう、関わりをもっています。今後も、人とのつながりを大切に頑張って行きたいと思います。

三浦由紀子(WOC看護師)

修了年
2016年3月
修士論文
先天性表皮水疱症患者の創傷・スキンケア方法に関する探索研究
学会発表
1. Interim report of an exploratory research for wound and skincare methods among patients who have epidermolysis bullosa
第24回 日本創傷オストミー失禁管理学会学術集会 2015年5月(幕張)
2.先天性表皮水疱症患者の創傷・スキンケア方法に関する探索研究,日本創傷・オストミー・失禁管理学会 第25回学術集会,2016年6月11日.
現在の勤務地

東京医療保健大学 東が丘・立川看護学部

現在取り組んでいること

WOC看護師として、創傷・スキンケアやストーマ管理に関する病院支援

国内外での災害医療支援活動 大学での成人看護領域の教育

大学院を振り返って

大学院在学中は、多くの専門分野を経験して集まった先生方や、研究生同士の関わりで視野が非常に広がり、深く勉強する機会を得ることができました。研究テーマが遺伝性皮膚疾患でしたので、新生児~高齢者まで幅広い層が対象になり、成長発達や社会生活に応じた看護の重要性を改めて感じました。 在学中には、ウイーンのザルツブルグで開催された、先天性表皮水疱症の専門家会議に出席する機会を頂きました。世界中から専門化家が集まり、今後の研究の方向性等が話し合われました。稀少疾患のため世界で横断的に研究を行なうことでより数多くのデータを収集し、患者の治療に役立てることを目指します。 その後、日本創傷・オストミー・失禁管理学会で研究の報告を致しました。その他、日本遺伝看護学会でも研究の報告をする予定となっております。そして、今後は学術論文としてまとめる予定にしており、表皮水疱症の治療・ケアに関わる医療者の日常の治療の参考となるように勤めていきたいと考えています。

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ウイーンのザルツブルグで開催された当該疾患の専門家会議

 

橋本 佳奈子(助産師,看護師)

修了年
2014年9月
修士論文
緊急帝王切開で出産した女性の出産体験のコーピングと母親になるプロセス
学会発表
Coping with emergency cesarean section of mothers’ birth experience : a descriptive study
The ICM Asia Pacific Regional Conference 2015、2015年7月(横浜市)
現在の所属
山梨大学医学部附属病院
大学院を振り返って

助産師として臨床で働きながら、長期履修制度を利用して修士課程を終えることができました。臨床での経験から自分が目指したいケアは何か、という問いを追求し、論文としてまとめてきました。修了後は自ら出産を経験し、子育てをしながら助産師として働いています。修士課程での学びや自らの経験を活かし、女性が母親になっていくことを支えていきたいと思っています。

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ICM2015 指導教員の小林教授と一緒に

松土 良子(助産師,看護師)

修了年
2015年3月
修士論文
成人期のPrader-Willi症候群の人の基本的ニードを充足するための対処法に関する記述研究
学会発表
①成人期のPrader-Willi症候群の人の基本的ニードに関する2事例の報告
②Prader-Willi症候群の人の基本的ニードを充足度に関する記述研究,日本遺伝看護学会第15回学術大会,2015年10月(熊本)
公表論文
成人期のPrader-Willi症候群の人の基本的ニードを充足するための対処法に関する記述研究,日本遺伝看護学会誌,15巻1号,81-96,2016.
現在の勤務地
独立行政法人国立病院機構 甲府病院
現在取り組んでいること
Pradar-Willi症候群の人及び家族の方のQOLが高められるための協力を続けたいと思っています。
2015年、10月に東京にて研究協力を頂いたNPO法人日本PWS協会の皆様に研究報告をいたしました。
その他、CLoCMiPレベルⅢ認証合格し、助産師としてのレベルアップ、自己研鑽を続け、様々な課題を抱えた妊産婦さんの支援をしていきたいと思っています。
大学院を振返って
文献検索から研究方法の決定、フィールドにおけるデータ収取の方法、分析、そして、論文作成、研究方法について学ぶことができました。病院での看護研究に生かしたいと思っています。また、研究を通して、PWSの人、家族と出会えたことは、周産期という限られた場所から、遺伝子疾患をもつ人へのかかわりなど、自分の視野を広げることができました。
 そして何より、指導をして下さった教授、教室の先生方、学友は私のかけがえのない方々になりました。今後ともよろしくお願いいたします。
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報告会の様子(2015年11月14日 東京)

石橋みちる(助産師,看護師)

修了年
2013年3月
修士論文
ダウン症候群のある乳幼児を育てる母親が親仲間との経験を生かし社会化する過程
公表論文
①Perinatal loss careに必要な医学的知見―なぜ亡くなったのか、に応えるために―, 日本遺伝看護学会誌 10(2), 23-31, 2012.
②ダウン症候群のある乳幼児を育てる母親が親仲間との経験を生かし社会化する過程 日本遺伝看護学会誌 12(2) ,18-32,2014.
現在の勤務地
独立行政法人国立病院機構 甲府病院
現在取り組んでいること
産婦人科外来での妊産褥婦さんへの相談支援小児科外来での「ダウン症の赤ちゃん体操教室」を通じての育児支援 山梨ダウン症フォーラムの運営委員 など。
大学院を振り返って
研究の時間を確保できたので、初めてフィールドに出る質的研究に取り組みました。
多くの研究参加者の皆様との出会いで、一層、研究へ使命感をいだくことが出来ました。
分析も論文作成も全く経験の無い中、二人三脚の姿勢で指導して下さった教授に心より感謝しています。
研究の姿勢を学ぶことは、自分の看護を振り返ることでもありました。
修士の2年間は、次のステップへ進むことができた本当に貴重な時間でした。
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H26年12月3日 山梨日日新聞より

和田実里(助産師,看護師)

修了年
2013年3月
修士論文
表皮水疱症児の成長発達過程と皮膚症状ならびに親によるケアに関する記述研究
公表論文
①先天代謝異常を早期発見するために必要な新生児期の看護,10(2),15-22,2012.
②栄養障害型表皮水疱症学童の発育過程と皮膚症状ならびに親によるケアに関する記述研究,日本遺伝看護学会誌,12(2),2-17,2014.
現況:
大学院修了後出産し子育て中です。
大学院を振返って
現在は職を離れ、育児に専念しておりますが、修士課程を通して得た学び、出会いは、大きな財産となっています。今後は自分自身の経験や修士課程での学びをいかしつつ、助産師として活動していきたいと思っています。

これまでの修士論文

平成28年度

神山 とき江 動機づけ面接法MI(Motivational Interviewing)による妊娠12~16週の時点で禁煙している妊婦の産後4か月までの禁煙維持への支援

平成27年度

三浦 由紀子 先天性表皮水疱症患者の創傷・スキンケア方法に関する探索研究

平成26年度

橋本 佳奈子 緊急帝王切開で出産した女性の出産体験のコーピングと母親になるプロセス

松土 良子 成人期のPrader-Willi症候群の人の基本的ニードを充足するための対処法に関する記述研究

平成24年度

立石 ゆか  新生児期のおむつ部位の皮膚の状態とおむつ交換の実態

石橋 みちる ダウン症候群のある乳幼児を育てる母親が親仲間との経験を生かし社会化する過程

和田 実里 表皮水疱症児の成長発達過程と皮膚症状ならびに親によるケアに関する記述研究

平成23年度

内田 宮子 子どもの夜泣きで母親が体験した苦悩

平成22年度

戸澤 陽子 はじめて育児をする母親の産後1か月における母親としての自信をつける介入

平成21年度

佐々木 弓美  診療所で働く助産師の自己効力感と職務満足の関係 常勤者と非常勤者の比較

平成20年度

高木 静代 助産師が中期中絶のケアに携わることに対して感じる困難

平成19年度

吉川 香菜 モモの摂取がⅡ型糖尿病モデル動物db/dbマウスの糖・糖質代謝に与える影響の評価

平成18年度

西原 由紀乃 産後4ヵ月の母親が感じる母親としての自信のプロセス