領域紹介

母性看護・助産学領域

1.沿革

 母性看護・助産学領域は、初代西脇美春教授(開学から2004年3月定年退職)、2代目遠藤俊子教授(2003年4月~2009年3月)、2009年4月より小林康江教授となり、2010年4月に中込さと子准教授が着任、翌年教授となり、現在の体制となっています。母性看護・助産学領域の体制は教授2名、助教1名で、2名の教授が、母性看護学と助産師基礎教育をそれぞれの教育をデザインし、共に教育に携わっています。

2.教育概要

看護師基礎教育:母性看護学

看護師基礎教育:母性看護学 母性看護活動論は、事例を中心においたアクティブラーニングをします。妊娠に気づいた時から、妊娠末期・分娩期・産褥期を通過して子育てを始める女性と胎児・新生児の事例を取り上げ、一連の健康課題とケアを学びながら講義を展開します。

 最初に、図書館ガイダンスから文献レビューの方法を学びます。この講義では本学の産婦人科教室の先生方にご協力いただき、助産師と産科医とで皆さんの教育に当たります。


看護師基礎教育:母性看護学母性看護学実習では、1)周産期にある母子の健康の保持・増進、疾病の回復を支える看護について多角的に理解する、2)家族形成に伴う健康課題のつながりをとらえ、看護の役割について考察する、を目的にして取り組みます。

今年から反転授業を導入しました。より具体的に実習準備ができ、オリエンテーションは4分の1に短縮しました。そして母子ケア技術の演習と、Focus Charting(記録の書き方)のミニレクチャーが加わり、午後からの病棟実習への準備が充実しました。


実習では、出産をなさる方、出産を終えた母、生まれたばかりの新生児を担当します。責任感を持って主体的に学習に取り組んでください。倫理的な態度をもって心をこめてケアをすること、助産師や産科医たちとのチームの一員であることを自覚して誠実に母と子のケアに取り組んでほしいと思います。

反転授業について


2015年度、最後の母性看護学実習の日

2015年度、最後の母性看護学実習の日

高野和美看護師長、臨床指導者(田中様、眞壁様)、助産師・看護師の皆さんと学生、教員と記念撮影

助産師基礎教育

次に助産師基礎教育についてご説明しましょう。2002年度(平成14年度)に、保健師、看護師の資格取得の教育課程に加えて、助産師教育課程が設置され、助産学専攻の選択科目の開設に至りました。本学における助産師教育は、3年次から助産師に関する講義や実習を選択制にし、単位を付与することで大学教育を経て看護師と同時に、助産師の国家試験受験資格が与えられるものです。具体的には、2年生までに母性看護学の授業を終えます。

 2年生の時点で母性看護学助産師に興味や関心を持ち、助産師になりたいと考える学生は、3年生前期の選択科目2科目(助産学概論、リプロダクティブヘルス論)を履修します。この科目は助産学のみならず、女性の健康に関心のある3年生が受講しています。そして助産師に興味関心が高まった3年生を対象に、12月末に選抜面接を実施しています。合格者は1月から本格的な助産師基礎教育が始まります。

詳しくは「特色ある授業」で助産学教育をご覧ください。

最近5年間の卒業研究テーマ

平成28年度
初期計画、分娩進行中の回旋異常に対するリスク判別とケア 橋本 瑞季
授乳に何らかの制約がある母子に対する母乳分泌促進のためのケア 大森 和沙
ローリスク産婦に対する促進ケアに関する事例検討 内川 由望
子宮収縮剤使用時における増量維持・中止の判断 入倉 みな美
平成27年度
母乳育児支援における助産学生の人工乳を足す・足さないの判断 赤澤 沙理
産科医療現場における家族中心のケアの実現に向けた記述研究 -助産学生のきづきに関する事例分析を通してー 新井 智恵
経産婦6事例から学ぶ分娩予測における助産学生の学習プロセス 大幡 千絵
産科医療におけるハイリスク新生児に必要なディベロップメンタルケアに関する考察 田中 幸恵
助産実習記録から見た分娩進行の予測に対する学生の傾向 寺本 彩子
予測に反した経過をたどった産婦の助産ケア修正に関する考察 ー陣痛促進を要した4事例の分析ー 原 雅美
分娩介助10例からの個別性にあわせた分娩進行の予測・修正を行う上での要点の検討 平岡 千夏
分娩進行中の分娩時異常出血に関するリスク判別とケア 若野 美有
平成26年度
助産学生の経験した弛緩出血の事例の分析 ~助産学実習における課題~ 五味 佑里恵
事例を通して行う自己の微弱陣痛、弛緩出血に対する臨床判断、ケアの適切性の検討 天野 莉夏
助産学生の分娩進行判断の特性-急速に進行した事例の経過分析- 小宮山 愛
緊急帝王切開により児が入院管理となったことで不安を抱える母親と児へのケア 滝田 ちはる
個別性に合わせた分娩進行の予測、初期計画を立てるための阻害・促進因子の検討 中田 萌美
第一子が体重増加不良で入院したヒストリーのある経産婦への母乳育児確立の支援 前原 加奈子
平成25年度
山梨県峡東地区で2歳以下の子どもを育てる母親の孤独感、自己効力感、ソーシャルサポートに関する実態調査 青柳 奈津未
文献から見る夫の育児支援の影響と有効な関わり 熊倉 圭織
若年妊娠の現状と助産師としての関わり 菅野 綾南
緊急帝王切開に至った事例の分娩予測に関する文献検討及び事例検討 前田 莉歩
陣痛促進剤使用の有無別にみた助産学生の分娩介助実習における助産診断とケアの分析-実習における有意義な学習方法ー 米山 彩美
助産学生のリフレクション-分娩介助10例を通しての学びと気づき- 佐伯 友子
平成24年度
陣痛促進剤を必要とした分娩経過のリスク要因の検討 前田 晴香
非妊時体格・妊娠中の体重増加量と出生児体重・体格の検討 寺田 宮野
分娩時出血量と非妊時BMI、妊娠時BMI、体重増加量との関係 藤田 幸江
文献からみる手術部新人看護師が抱く困難と望まれる支援 田中 明日花
遷延する分娩進行に対する助産診断とケアの分析 浅沼 まいか
分娩介助実習における軟産道裂傷予防のための会陰保護技術の学習内容の分析 松本 恵美子
分娩時異常出血に関する助産診断とケア 徳村 藍香
出産の際に抱いた思いと満足度の関係について 堀越 弥生
2015年度 助産学専攻 修了生

2015年度 助産学専攻 修了生

助産師卒後教育

 山梨県の看護従事者を取り巻く課題に、助産師不足と、診療所で働く助産師が少ないという助産師の偏在があります。助産師養成数を増やし、診療所に勤務する助産師の教育体制を構築するため、2011年10月よりプライマリー助産ケア講座(寄附講座:寄附者 山梨市 中村産婦人科医院 院長 中村雄二先生))を設置し、助産師養成数の増員並びに新人助産師教育プログラムを診療所スタッフと共に構築しています。


プライマリー助産ケア講座

 プライマリー助産ケア講座(Primary midwifery care; PMC講座)は,平成23年10月から5年間の予定で設置された寄附講座です(寄附者 山梨市 中村産婦人科医院 院長 中村雄二先生).

 本講座と成育看護学講座 母性看護・助産学領域の教員および診療所と協働で,プライマリーケアの場で助産師を育てるPMCプロジェクトを展開しています.

 「プライマリーケアの場」とは,リスクが少ない女性が訪れる産科クリニックになります.そして,「妊娠期から退院後1か月健診終了まで継続してケアができるプライマリー助産師」を3年間で育てる取り組みであり,新人期から卒後3年間の継続教育プログラムを作成し,実施と支援をしています.平成25年4月から毎年,大学で助産教育を受けた卒業生等が診療所に就職しています.現在,卒後1~3年目の助産師5名が,本プロジェクトの卒後継続教育プログラムに則っとり実践・活躍しています.

プライマリー助産ケア講座

1.若手助産師を対象とした研修会の企画・運営

2013年度から本学卒業生や県内の若手助産師を対象として山梨大学PMCプロジェクト研修会を企画・運営しています。

これまで開催された研修会

開催日・場所 テーマ・講師 参加人数
2013年度 6月19日 自分のキャリアを考える-次の段階の自分の姿を考えてみませんか-
北里大学看護キャリア開発センター
新生児集中ケア認定看護師 岡園代先生
卒業生
対象
11月20日 分娩進行の臨床判断
-分娩進行の判断・予測,医師や先輩への報告について検討しましょう-
山梨大学 渡邉竹美,小林康江,中込さと子,丸山和美
29人
2月28日 母乳育児を支える助産師のケア
有井助産所 所長 有井澄江先生
28人
2014年度 7月28日 出生直後から早期新生児のケア
国立甲府病院 母性看護専門看護師 八巻和子先生
20人
12月1日 分娩進行の臨床判断
-分娩進行の判断・予測,医師や先輩への報告について検討しましょう-
山梨大学 渡邉竹美,小林康江,中込さと子
23人
2月3日 産後のケア-小集団対象の参加型保健指導-
さくら産院(栃木県) 顧問 田村一代先生
36人
2015年度 10月24-25日
(清泉寮)
動機づけ面接法
一宮病院 KUNIX-禁煙コンサルタント 松尾邦功先生
30人

基盤研究(C)「地域連携型『継続助産ケア実践研修プログラム』の創成」(研究代表 小林康江)

2.PMC講座業績

2012年

月・日 学会名称等 場所 タイトル
8月25日 看護系大学助産師教育研究会主催 第2回ワークショップ 京都市 教育側からみた助産実習指導の課題
11月3日 第13回山梨大学看護学会学術集会 中央市 プライマリー助産ケア講座(寄附講座)の設置と新しい助産師教育
11月3日 第13回山梨大学看護学会学術集会 中央市 プライマリー助産ケア寄附講座1年目の活動報告

2013年

月・日 学会名称等 場所 タイトル
5月2日 第27回日本助産学会学術集会 金沢市

診療所と協働で行う新卒助産師継続教育の検討-プライマリー助産ケアプロジェクトの取り組み

5月18日 第14回山梨母性衛生学会学術集会 甲府市 陣痛促進剤を必要とした分娩経過のリスク要因の検討
5月18日 第14回山梨母性衛生学会学術集会 甲府市 分娩時出血量と非妊時BMI,分娩時BMI,体重増加量との関係
5月18日 第14回山梨母性衛生学会学術集会 甲府市 当院における母乳育児支援の実態報告
9月30日 山梨大学看護学会誌             12巻1号 29-34 活動報告:プライマリー助産ケア講座(寄附講座)の設置と新しい助産師教育;設置1年の活動報告
10月21日 助産雑誌11月号(医学書院)              第67巻 第11号 952-958 close up 新人助産師を育てる診療所と大学の協働プロジェクト
11月2日 第14回山梨大学看護学会学術集会 中央市

プライマリー助産ケア寄附講座2年目の活動報告 

-診療所と協働で行う新人助産師教育の取り組みー

2014年

月・日 学会名称等 場所 タイトル
3月23日 第28回日本助産学会学術集会 長崎市 新人助産師の分娩管理能力の獲得プロセス
-プライマリー助産ケアプロジェクトの取り組みー
3月 山梨県母性衛生学会誌 13巻1号 1-8   分娩時出血量と非妊時BMI,分娩時BMI,体重増加量との関係
3月 山梨県母性衛生学会誌 13巻1号 29-34   A施設における入院中の授乳に関する実態報告
3月 山梨大学看護学会誌12巻2号 31-36   診療所と協働で行う新人助産師教育の取り組み
-プライマリー助産ケアプロジェクトの実践報告ー
6月4日 30thTriennial ICM Congress プラハ A training program in primary midwifery care for novice midwives in Japan
11月8日 第15回山梨大学看護学会学術集会 中央市 プライマリー助産ケアプロジェクトの活動報告
-2年目助産師の教育プログラム-

2015年

月・日 学会名称等 場所 タイトル
3月28日 第29回日本助産学会学術集会    東京都 新人助産師の分娩管理能力を育成する教育体制の課題-吸引分娩と出血異常の分析から見えた課題ー
3月 山梨大学看護学会誌 第13巻2号 17-22   新人助産師の分娩管理能力を育成する教育体制の課題
5月30日 第16回山梨県母性衛生学会学術集会 中央市 A診療所における新人助産師教育の取り組み
11月7日 第16回山梨大学看護学会 中央市 事例検討を通して見える新人助産師の分娩管理上の課題  プライマリー助産ケアプロジェクトの活動報告

小児看護学領域

概要

講義

小児看護活動論の講義では,2年次には健康な子どもの成長・発達を形態機能の変化として捉え,その機能がどのように生活行動と繋がっていくかを学習します。さらに3年次に小児特有の健康障害を理解した上で,病のある子どもと家族を支援できるようになるために,専門的知識と小児特有の看護技術を学習します。また、毎年乳幼児とそのお母さん(卒業生など)にご協力いただき,小児看護技術(コミュニケーション・バイタルサイン測定・清潔援助)の演習を行っています。

実習

3年生の後期から4年生前期にかけて,市内の保育園・附属病院小児科・附属病院小児科外来で臨床実習を行っています。保育園実習では健康な子どもの成長・発達について理解を深めるとともに,基本的な養育方法を学びます。外来実習、病棟実習では実際に患者さんを受け持ち,成長・発達や健康上の問題をもつ子どもへの看護の実践を目指します。実習最終日には,実習での学びを活かして学生が「病棟お楽しみ会」を企画・実施し,入院している子どもたちの笑顔を引き出す素敵な時間になっています。

学生が企画した「お楽しみ会」の実施風景

学生が企画した「お楽しみ会」の実施風景

 

卒業研究

講義・実習で関心を持ったことなどからテーマを決め,卒業研究を行っています。各自が立てた研究計画に沿って,患者さんやご家族に調査を依頼して論文にまとめます。また,論文作成後には在学生,卒業生や大学院生,附属病院看護師を招き,研究発表会を行っています。

【卒業研究テーマ】

  • ストーマ造設入院前オリエンテーションにおけるこころの準備
  • 入院経験のある学童への教育的支援 ―親が医療者に求める日常的な関わり―
  • 保育所における子どもの病気の発症に関する母親の思いと行動
  • 小児科看護師の慢性疾患等で長期治療をしている子どものきょうだいに関する支援への思考
  • 長期入院を経験した子どもの退院後のQOLと自尊感情について
  • 子どもへの服薬開始時から現在までの保護者の思い-先天性心疾患に焦点を当てて-
  • 入院中の小児の学習について院内学級教諭が行っているやる気を引き出すかかわりとその思い
  • 小児がん患者への長期支援に関する文献検討
  • 母親のボディイメージと子どもの食生活
  • 乳幼児を持つ母親の育児に関する不安と育児環境の調査
図11

卒業研究発表会の様子